2006 Fiscal Year Annual Research Report
小児用人工心臓のためのピボット式波動型人工心臓の開発研究
Project/Area Number |
18689034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 逸郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (80334225)
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Keywords | 波動型ポンプ / 流体解析 / CFD / クリアランス / 溶血試験 |
Research Abstract |
波動型ポンプの設計とともにその基本性能の評価を行った。 波動型ポンプで重要となる点はクリアランスである。クリアランスが大きすぎるとポンプ効率が極端に下がり、クリアランスが小さすぎると溶血が大きくなる。また、小さすぎるものでは軸のぶれや機械加工の誤差により、ポンプ内で稼動部がクリアランスを保てず衝突してしまう問題もある。そこで、波動型ポンプのシミュレーションモデルを作成し、流体解析を行うことで、最適なクリアランスを求めた。現在までにポンプ効率に影響してくるクリアランスは主に側面のものであることが判明した。 この結果を受けて、ポンプの試作を行い性能の評価を行った。シミュレーションの結果と対比を行うため、クリアランスを変えたものを作成しそれぞれの性能の違いを調べた。流体には生理食塩水を用いてシミュレーションで用いた条件と同じ条件で駆動を行ったところ、流量などの計測値に絶対的な値の違いは見られたものの傾向は同じ結果が得られた。これによりシミュレーションによる評価がある程度の妥当性を持つことが示された。現在はシミュレーションモデルについて、絶対的な値もより近いものが得られるように改良を行っている。 また、ポンプの血液適合性のうち溶血性能を調べるために血液を用いた実験も行った。試作したポンプで血液を駆動させ、そのときの溶血の時間変化を調べることで溶血性能の評価を行った。現在までに、クリアランスが小さいポンプは溶血が大きく、クリアランスを大きくするにつれ溶血が減少していく結果が得られた。今後の開発にはクリアランスに関してポンプ効率と溶血とのバランス点を求めることが必要となる。溶血評価にはポンプの試作があり時間がかかるため、in vitroによる要訣評価法に関しても調査を行ったところ、ある程度までシミュレーションでできる可能性があることが判明した。
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