2007 Fiscal Year Annual Research Report
上皮間葉転換に基づく細胞膜型ペプチド分解酵素を分子標的とした卵巣癌腹膜転移の抑制
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18689040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶山 広明 Nagoya University, 医学部・附属病院, 講師 (00345886)
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Keywords | 上皮間葉転換(EMT) / 卵巣癌 / CD13 / TWIST / CD26 / 腹膜播種 / 薬剤耐性 / タキソール |
Research Abstract |
これまで上皮間葉転換現象(EMT)の視点から2種の細胞膜型ペプチド分解酵素(CD13/CD26)に焦点をあて卵巣癌の腹膜播種を抑制と薬剤感受性増強のメカニズムを主としてin vitroおよびin vivoの両系にて検討を行ってきた。特に本年はこれらに関する実験系および結果の要点は以下の3点である。すなわち、1)タキソール感受性と浸潤能の低下を誘導するCD26の過剰発現によってEMT誘導転写因子TWISTの発現は抑制された。また、CD13のRNAiによる発現抑制によって同様にTWIST発現が抑制された。2)マウスに卵巣癌細胞を皮下移植して形成させた腫瘍に対してアテロコラーゲンで包埋したTWISTあるいはCD13のin vivo-siRNA投与によって腫瘍形成を完全にブロックした。3)種々の卵巣癌細胞株からcontinuous exposure法にてchronic paclitaxel耐性株(CP細胞株)を樹立し、それら耐性株におけるEMT誘導性およびマウス腹腔内播種形成の亢進が認められたこと。CP耐性株で発現が亢進していたEMT誘導転写因子をin vitro-,及びin vivo-siRNAでノックダウンすることによって腹膜中皮細胞や細胞外マトリックスとの接着親和性の減少、およびマウスでの遠隔転移性の低下、さらにはpaclitaxel耐性の解除などが観察されたこと。さらに、これらCP細胞の耐性化の過程で、CD26の発現減少とCD13の発現増強がパラレルに認められたことなどがあげられる。以上データから、卵巣癌細胞の腹膜転移能の獲得にはEMTが重要であり、特にCD13とTWISTには密接なリンクが存在していることが推定された。さらにこれらをブロックすることによって再発後の薬剤耐性癌を含めて卵巣癌の転移の抑制と抗癌剤感受性の増強効果が同時に期待できる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)