2008 Fiscal Year Annual Research Report
上皮間葉転換に基づく細胞膜型ペプチド分解酵素を分子標的とした卵巣癌腹膜転移の抑制
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18689040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶山 広明 Nagoya University, 医学部・附属病院, 講師 (00345886)
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Keywords | 上皮間葉転換(EMT) / 上皮性卵巣癌 / 細胞膜型ペプチド分解酵素 / CD13 / CD26 / ケモカインレセプター / 薬剤耐性 / 腹膜播種 |
Research Abstract |
本研究の目的は上皮間葉転換現象(EMT)の視点から2種の細胞膜型ペプチド分解酵素(CD13/CD26)に焦点をあて卵巣癌の腹膜播種抑制と薬剤感受性増強のメカニズムを探求することである。これまでに得られた知見を以下に示す。1) 癌が転移を起こす時、すなわちEMTにより"metastatic potential"を獲得するときにCD13^<low>CD26^<high>⇒CD13^<high>CD26^<low>への発見シフトが生じる。この経路をCD13阻害剤bestatinやRNA-iで抑制するとCD26が誘導され低転移性/薬剤感受性へと傾く。2) CD13^<low>CD26^<high>⇒CD13^<high>CD26^<low>の発見変化にはEMT誘導転写因子TWISTの誘導を介した系が存在した。3) 再発癌ではCD13^<low>CD26^<high>⇒CD13^<high>CD26^<low>へと発現シフトが感受性減少の一因であり、これをbestatinによって阻害することが薬剤への再感受性亢進に寄与した。本年はさらに基質制御の観点からCD26の腹膜進展抑制のメカニズムを基質制御の観点から探求した。すなわち、CD26の酵素的標的であるSDF-1αとその特異的受容体であるCXCR4の果たす卵巣癌細胞の腹膜進展作用についての基礎的研究を行った。その要点を以下に示す。1) CXCR4は卵巣癌細胞と腹膜中皮の両者に発現し、SDF-1αは腹膜中皮側に有意に発現している。2) CXCR4のantagonist(AMD3100)の添加によって遊走能だけでなく両者の接着能は有意に減少した。3) マウス腹膜播種モデルにおいてantagonistの腹腔内投与が播種形成抑制に寄与した。 以上によってCD13/CD26バランスを直接的あるいは間接的にbestatinやAMD3100などの薬剤で調整することによって転移抑制や薬剤感受性増強に結びつく可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)