2006 Fiscal Year Annual Research Report
圧縮ストレスに対する口腔粘膜の細胞応答が顎堤吸収に及ぼす影響
Project/Area Number |
18689045
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江草 宏 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助手 (30379078)
|
Keywords | 顎堤吸収 / メカニカルストレス / 口腔粘膜 / 骨代謝 |
Research Abstract |
本研究では,「顎堤粘膜に加わる非生理的ストレスが外来刺激として粘膜の細胞のサイトカイン・増殖因子の産生を促し,二次的に歯槽骨の吸収に影響を及ぼしている」との仮説の検討を目的としている。 これにあたり,本年度は細胞圧縮装置の開発に取り組んだ。装置として,細胞培養プレートを内包するチャンバー内に,ガス混合装置で5%に調整されたCO_2をコンプレッサーユニットにより送り込み,チャンバー内圧を上げることにより培養液を介して培養細胞に圧力をかける装置を設計した。また,このチャンバー内にデジタル圧力センサーを取り付け,設定圧(〜50kPa(0.5kg/cm^2))に達すると,脱気することで内圧を外気圧にまで下げ,反復的に圧縮力を付加できるように設計した。現在,この装置細部の改良を検討中であり,次年度にはこれを用いて実際に細胞に負荷を与えて培養する予定である。 また,実験の遂行に必要な口腔粘膜構城細胞として,患者口腔粘膜よりヒト歯肉線維芽細胞(hFB)を分離し培養系を確立した。 さらに,予備実験として本学歯科理工教室の松本助手らと設計した,細胞伸展装置(4連培養型)を用いて,hFBおよびマウス骨髄より分離培養した間葉系幹細胞(mMSC)に反復伸展ストレスを与え,細胞の挙動について検討を行った。その結果,hFBは,この反復伸展刺激により72時間以内に伸展方向に対して垂直の方向に配向したのに対して,mMSCは,伸展方向に配向した。このことから細胞種依存的に伸展刺激に対して配向していく機構が存在している可能性が示唆された。また,mMSCを骨格筋系細胞に誘導しながら反復刺激を与えたところ,この刺激は細胞融合を促進し,多核の筋管細胞様細胞を出現させ,骨格筋分化に関与するmyogeninの発現を促進することが明らかとなった(国際歯科学会2007発表予定)。
|