2008 Fiscal Year Annual Research Report
圧縮ストレスに対する口腔粘膜の細胞応答が顎堤吸収に及ぼす影響
Project/Area Number |
18689045
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江草 宏 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 助教 (30379078)
|
Keywords | メカニカルストレス / 口腔粘膜 / 顎堤吸収 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は,口腔粘膜に加わるメカニカルストレズが口腔粘膜のサイトカイン産生々促し,歯槽骨の骨代謝に影響を及ぼしている可能性を検討することである。また,骨芽細胞,破骨細胞の分化に関与する分子を探索し,顎堤吸収のメカニズムを解明することを目的としている。これにあたり,カスタムメイドの細胞圧縮装置を開発・実用化し,患者口腔粘膜より分離培養したヒト歯肉線維芽細胞(hGF)に圧縮負荷を与えて細胞応答を検討した。その結果反復圧縮刺激はhGFの細胞増殖を抑制し,炎症性サイトカインIL-1β,IL-6,IL-8および骨吸収因子RANKLの産生を促進することが明らかとなった。また,破骨細胞の分化に影響を及ぼす化合物・因子のスクリーニングを目的に,破骨前駆細胞にNFATレポーターベクターを組み込んだ細胞株を樹立し,発光プレートリーダーでNFAT活性をハイスループットに読み取る方法を構築した。このシステムを用いてケミカルコンパウンドライブラリーの中から破骨細胞活性に関わるいくつかの新規因子を特定した。この因子のひとつハルミンは,RANKL非依存性にNFAT活性を著明に促進するが,同時に促進される分化制御因子Id2によって破骨細胞分化を抑制し,骨芽細胞に対しては石灰化を促進する機能を有する可能性が示唆された。また,Yeast Two Hybrid法を用いることで破骨細胞分化の重要分子であるgalcineurin Bと結合する分子としてPICK1を新規に同定し,細胞内で結合後にNFAT活性に影響を及ぼすことを明らかとした。また,骨芽細胞の分化機構に関しては,骨髄由来間葉系幹細胞の骨芽細胞分化過程におけるDNAメチル化の関与について検討を行い,osteocalcinプロモーター領域における特定のCpG配列のメチル化が骨分化に関与している所見を得ている。
|