2006 Fiscal Year Annual Research Report
癌骨浸潤におけるヘッジホッグの破骨細胞性骨吸収とそのメカニズムの解析
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18689049
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
志茂 剛 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40362991)
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Keywords | ヘッジホッグ / 破骨細胞 |
Research Abstract |
癌の骨浸潤は癌性骨疼痛や病的骨折などを引き起こし,患者のQuality of Lifeを著しく低下させ臨床上その克服は重要な課題である。癌の骨浸潤巣での癌の増殖には骨破壊が必要であり,その主役は破骨細胞である。近年ヘッジホッグ(SHH:ソニックヘッジホッグとIHH:インディアンヘッジホッグ;以下Hh)は肢芽,長幹骨の形態形成や発育に重要な役割を担うだけでなく,ヒト造血系幹細胞の増殖能を亢進させ,骨折の初期段階で破骨細胞誘導因子receptor activator of NF-kB ligand(以下RANKL)を介した骨のリモデリングに関与することが報告されている。癌細胞においても持続的に活性化されるHhシグナルはさまざまな腫瘍で報告されており,Hhシグナルは癌の新たな診断と治療の標的となる可能性を秘めていることが示唆される。しかしながらHhが直接破骨細胞形成に関わるのか,Hhが誘導した分子を介して間接的に作用するのかあるいは、Hhが他の破骨細胞形成因子の作用を助ける様な形で補助的に作用するのか不明であり,癌骨破壊巣における生物学的な重要性はいまだ明らかにされていない。Hhの破骨細胞形成能はマウス骨髄細胞,マウス骨髄細胞からソーティング(MidiMACS separation unit ; Miltenyi Biotec Inc.)を行ったCD11b(+)細胞RAW264.7細胞を使用した。破骨細胞形成は酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)染色とDentin slice上の吸収窩を電子顕微鏡(SEM, VE9800, Keyence, Osaka, Japan)にて観察後,面積を解析した(Lumina Vision, Mitani Corpotation, Osaka, Japan)。マウス骨髄細胞,CD11b(+)細胞,RAW264.7細胞においてRANKL存在下でShh, Ihh共に破骨細胞形成,Dentin slice上吸収窩面積を促進した。ShhのRANKL共存下における破骨細胞形成能は濃度依存的にcyclopaminによって抑制され,smo-floxedマウスCD11b(+)細胞Creリコンビナーゼアデノウイルス感染で,コントロールウイルス添加群と比較して有意に抑制された。これらのことからHhシグナルは癌骨破壊成立機序に関わっており,さらにその役割を解明し,骨転移の予防およびその治療に応用することは臨床上重要な課題として位置づけられると考える。
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