2007 Fiscal Year Annual Research Report
口腔レンサ球菌による感染性心内膜炎発症に関わる病原因子の分子生物学的解析
Project/Area Number |
18689050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲野 和彦 Osaka University, 歯学部附属病院, 講師 (00379083)
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Keywords | 口腔レンサ球菌 / 感染性心内膜炎 / 分子生物学 / 心臓弁 / 歯垢 |
Research Abstract |
感染性心内膜炎(Infective endocarditis;IE)は,主に口腔レンサ球菌によって引き起こされる全身性の感染症であり,歯科治療時の観血処置などがその誘因とされている.IE発症時には起炎菌の特定が重要であり,主に血液培養法により同定されてきた.一方,近年の分子生物学的手法の発展によって,起炎菌の同定には、患者血液や摘出心臓弁組織から抽出した細菌DNAを用いた分子生物学的手法が応用されつつある.本研究では,10症例のIE患者から摘出された心臓弁に対して,2種類の分子生物学的手法で組織中に存在する細菌の検出を行った.IEと診断された10症例のうち8症例で血液培養において菌種が特定され,そのうち4症例ではStaplrylococctts aureusが検出された.一方,分子生物学的手法では,この4症例のうち3症例で,S.aureusが最も高頻度に検出されたが,1症例ではS. mutansが最も高頻度に検出され. S. aureusは検出されなかった.また,血液培養において菌を特定できなかった2症例について分子生物学的分析を行ったところ,いずれの症例においてもレンサ球菌に相同性の高い配列が最も高頻度に検出された.本研究では,血液培養で1菌種のみが検出される場合や,菌が検出されない場合においても,分子生物学的手法では多種の菌が検出された.また,2種の分子生物学的手法について比較検討した結果.手法により菌の検出限界や検出される菌種が異なることが明らかとなった.これらのことから.分子生物学的手法は方法により得られるデータに違いが見られるものの,いずれの方法も患者の血液中に侵入した微量な菌を検出できる可能性が示唆された.
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Research Products
(4 results)