Research Abstract |
平成19年度は,双線形写像に用いたいくつかの暗号プロトコルの提案を行った. まず,新たな墨塗り署名を提案した.既存の方式では,機能として墨塗りもしくは削除のみが可能であったが,平成18年度に,我々は,部分的に墨塗りおよび削除を同一の方式で行うことができる方式を提案した.しかしながら,この方式では,遷移できない状態が存在し,完全な形での融合は実現できておらず,任意の許可された状態間の遷移が可能な方式の存在および実現は未解決な問題であった.我々は,既存方式の状態の設計を見直すことから着手し,この問題点を解決し,完全な形での融合方式を提案した.既存方式との比較において,機能は,完全に既存の方式を含んでいるものの,署名長,演算時間は同等であるという特徴がある. 双線形写像に基づく墨塗り署名以外の方式として,委託可能検証者指定署名を提案した.既存の方式として,公開鍵暗号方式でありながら検証者をできる方式(検証者指定署名)があるが,アプリケーションによっては,指定された検証者の負荷が大きくなるという問題点があった.電子投票を例に取ると,選挙管理委員会は,検証の指定者となるが,大規模な選挙の場合,検証のコストは,莫大なものになりうるため,業務を委託できることは,有効である.我々は,検証者指定性を保持しながら,署名の正当性の検証を第三者に委託できる方式を提案した.特に,安全性要件を定義し,提案方式は,その安全性を満たすことを証明した.
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