Research Abstract |
情報公開法の施行などにより,文書の正当性を保証しつつ文書を公開する需要が高まっている.その一方で,安易な文書公開は,プライバシーの侵害を招く恐れがある.一般に,プライバシーの保護をする為には,文書の墨塗りなどの修正をする必要があるが,その結果,文書の正当性が損なわれてしまうこととなる.この問題点を防ぐ技術として,墨塗り署名を研究の対象とする. 本課題では,双線形写像を用いた墨塗り署名を2種類提案した.一つ目の手法は,1. 部分文書毎にIDをふり,部分文書の順番の入れ替えを防ぐことが可能であること,2. 部分文書の状態として,墨塗りをされた状態,墨塗りの禁止,許可の3つの状態を取ることが可能である,という特長を持つ.二つ目の手法では,墨塗り状態の他に,実際に文書の削除も可能としている.さらに,文書の状態遷移の細かい制御が可能な方式への拡張を行っている.ついで,提案手法の安全性を議論している.これらの技術は,文書の公開時における,文書の正当性の担保とプライバシーの保護という二つの対局的な要求を解決するのに適用可能である. 本課題では,提案手法の安全性評価を円滑に行うため,より広いクラスの暗号の安全性評価手法の提案を行っている.特に,現在,広く使われているRSA暗号の変形版の安全性解析,ナップザック暗号に対する理論的な安全性解析,APOP, SIPなどのハッシュ関数を用いた認証プロトコルに対する安全性解析を行っている.この結果は,双線形写像を用いた暗号及び暗号プロトコルの安全性解析だけでなく,より広いクラスの暗号の安全性解析に適用可能である.
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