2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700011
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中西 正樹 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (40324967)
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Keywords | 量子計算 / 量子暗号 / 量子通信 / 量子計算モデル / 量子アルゴリズム |
Research Abstract |
本年度は量子-古典協調計算に関する研究の一環として,量子封印,量子直接秘匿通信,Pure Dephasingが起こりうる量子回路の誤り訂正手法に関する研究を行った. 1.量子封印とは乱数と量子ビットを用いてメッセージを符号化することにより,第三者がそのメッセージを復号すると両氏状態が壊れるというものである.この性質のため,誰でもメッセージを復号することができるが,符号家事に使用した乱数を知っているものは,誰かがメッセージを読んだことを高い確率で検出することができる.つまり,メッセージの開封確認ができる.本研究では,流出する情報量の上界が自明な下界に一致する,つまり,最適な量子封印プロトコルを開発した. 2.現在よく知られている量子暗号はBB84プロトコルに代表される鍵配布プロトコルである.これは量子通信を用いて安全に暗号化鍵を配布し,その後配布した鍵を利用して古典暗号通信を行うというものである.一方,暗号化鍵を事前に共有することなく秘密情報を直接送信するのが「直接秘匿通信」である.本研究では量子通信を用いて直接秘匿通信を行うプロトコルを開発し,その安全性について解析した.提案プロトコルは「量子情報を送信できる」,「光子数分割攻撃に強い」等のメリットを有する. 3.量子回路での演算中にエラーが生じた場合の対処方法として,これまでに様々な研究が行われているが,そのほとんどがバイアス付オラクル計算モデルを用いてエラーをモデル化している.このモデルで扱うことのできる量子状態は純粋量子状熊のみであり,実際に物理的に生じうるすべてのエラーをモデル化できているわけではない.本研究では,今まで取り扱われていなかったPure Dephasingと呼ばれるエラーが生じる場合について,量子回路中でどのように対処すれはよいかの指針を示した.
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