2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700011
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中西 正樹 Nara Institute of Science and Technology, 情報科学研究科, 助教 (40324967)
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Keywords | 量子情報処理 / 量子暗号 / 量子アルゴリズム / 量子-古典協調計算 |
Research Abstract |
「量子分散計算について」 任意のネットワークトポロジを対象とした量子分散計算について,その通信量の下界を求めた.また,特定の問題について,通信量の上界を求めた.対象とする計算モデルにおいて,古典の乱数を導入することにより,良い上下界を求めている. 「量子暗号プロトコルについて」 ・量子封印プロトコルについての研究を行い,盗聴される情報量と不正者の検出率のトレードオフについての情報理論的な解析を行った.また,この解析に基づき最適な量子封印プロトコルの提案を行った. ・量子直接秘匿通信プロトコルを開発し,その安全性の解析を行った.提案プロトコルは,量子通信と古典通信を併用し,送受信者間で繰り返しメッセージのやり取りを行うことにより,安全性を高めることができるという特徴がある.また,提案手法は(1)エンタングルメントを使用しないことから実現が容易である.(2)盗聴者検出のために秘密情報に対する鍵を公開する必要が無いため,光子数分割攻撃に強いという利点がある.さらに,提案プロトコルを量子メモリを用いずに実装するための方式について検討を行った. 「量子計算機シミュレータについて」 並列計算機を用いた量子計算機シミュレータを開発した.並列計算機を用いる際にはノード間の通信がボトルネックになることが多いが,本シミュレータでは,時間発展行列の行と列を動的に入れ換えることにより,ノード間の通信を減らすことができ,高速にシミュレーションを行うことが可能である.
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