Research Abstract |
ネットワークアプリケーションの多様化にともない,複数のユーザにより構成されるグループ単位で情報の共有を行う機会が増えつつある.グループ鍵とは,そのグループに属するユーザのみが共通して保有する暗号鍵の一種であり,このグループ鍵を利用することで,グループ内での情報共有を安全かつ効率的に行えるようになる.一般に,新しいユーザがグループに加入したり,これまでグループメンバであったものがグループから離脱することが考えられるが,グループ鍵も,このようなグループメンバの変更実体にあわせて管理する必要がある.既存研究でも,これら動的に変化するグループ構造を念頭においた鍵管理法がいくつか提案されているが,その多くは二者間のプロトコルを単純に拡張しただけのものであり,効率性や可用性など,多くの問題が未解決である.本研究では,従来とは異なる2つの方向性からグループ鍵の問題にアプローチしている.最初のアプローチは,時間限定で利用可能な暗号鍵の実現方式を開発することである.時々刻々とスクランブル鍵を更新するようなシステムにおいて,あらかじめ定められた時間区間内だけ有効な暗号鍵を実現する.平成18年度の研究では,ある種の一方向性関数を組み合わせるような時間限定鍵実現法について考察し,楕円曲線暗号でしばしば用いられるペアリング関数を利用した実現法について検討した.二つ目のアプローチでは,汎用のグループ構造ではなく,センサネットワークでしばしば見られるグループ構造に着目し,それに特化したグループ鍵の管理手法を検討する.平成18年度は,鍵事前格納方式の改良法や,属性分割に基づくグループ構造を想定した鍵管理法について検討した.グループ内に非協力的なメンバが居る場合でも安全に鍵管理を行うためには,ある種の誤り耐性を確保する必要があるが,それに関連し,情報理論的な基礎要件についても検討した.
|