2008 Fiscal Year Annual Research Report
各種量子暗号方式に対する安全性の定式化およびその証明手法
Project/Area Number |
18700016
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
渡辺 曜大 National Institute of Informatics, 情報学プリンシプル研究系, 助教 (70360675)
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Keywords | 量子暗号 / 量子鍵配送 / 情報量的安全性 |
Research Abstract |
量子鍵配送は, 無限の計算資源をもった攻撃者(すなわち, 無限メモリの量子コンピュータを無限時間実行させることのできる攻撃者)に対しても安全に乱数(秘密鍵)を共有するための技術である. 量子鍵配送の安全性を証明するためには, 盗聴者に漏れた鍵に関する情報量を推定し, その情報量に応じて鍵を圧縮しなければならない. この圧縮過程を秘匿性増強とよぶ. いま, アリスとボブがある情報を共有していて, イブがその共有情報に関する何らかの部分情報を知っている状況を考える. 特に, 量子秘匿性増強においては, アリスとボブの共有情報は古典的であるが, イブの情報は量子的であってもよいとする. すなわち, 共有情報は確率変数によってあらわされるが, イブの情報は確率変数および確率状態によってあらわされるものとする. ここで, 確率状態とは, 量子状態の集合を値域にもつ確率変数のことである. さらに, アリスとボブは認証公開通信路を利用できるものとする. このとき, 秘匿性増強の目的は, 安全な(イブにとって一様乱数に見える)共有鍵を生成することである. 量子秘匿性増強は, 古典秘匿性増強をその特別な場合として含むが, 既存の量子秘匿性増強の(古典に制限した)鍵生成レートは, 既存の古典秘匿性増強の鍵生成レートと一致しない. 本研究では, Jensenの作用素不等式を用いることによって, 既存の古典の結果と一致する鍵生成レートを持つ量子秘匿性増強の安全性証明を与えた.
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