2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700017
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
萩原 学 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティ研究センター, 研究員 (80415728)
|
Keywords | 量子誤り訂正符号 / 低密度パリティ検査符号 / CSS符号 / LDPC符号 / 擬似巡回LDPC符号 |
Research Abstract |
本研究の目標は、量子誤り訂正符号の1つであるCSS符号を構成する古典符号の対をLDPC符号として実現し、通信路の雑音率が3%という大きな雑音環境の下でもブロック誤り率が0.005未満で済む高い誤り訂正パフォーマンスを達成することにある。問題は、古典符号の理論では想定されていなかった条件(本研究ではねじれ関係と呼んでいる)と、高い誤り訂正能力の両立にある。研究計画ではArray-TypeとよばれるLDPC符号を1つ固定し、対となるもう一方の符号探索に計算機探索の手法を利用することで、そのような符号対を構成する予定であった。研究を通じ、Array-Type LDPC符号では達成したいレベルの符号構築が困難であるとわかってきた。そこで、Array-Typeの拡張であるQuasi-Cyclic LDPC符号を研究対象に加えるよう方向転換を行った。これが功を奏し、低い符号化率の符号では、3年間を通した目標である高い誤り訂正パフォーマンスを初年度で達成できた。さらに、計算機を用いる手法から得た知見をもとに、理論的考察が進められた。重要な理論成果として、QC LDPC符号の組が量子符号の要素となる条件を、組合せ論的にシンプルな用語で与えることに成功した。結果、理論的手法と計算機を用いた手法を組み合わせることで、研究当初の想定を遥かに上回る効率良い構成方法を得ている。これらの成果は、ISIT2007を初めとした査読のある国際学会等で採択されている。
|