2006 Fiscal Year Annual Research Report
タグレス化によるキャッシュメモリの動的構成変更に関する研究
Project/Area Number |
18700038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 健一 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 講師 (50300520)
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Keywords | 計算機アーキテクチャ / メモリシステム / キャッシュメモリ |
Research Abstract |
本研究では,キャッシュメモリの基本パラメタの一つであるキャッシュライン長を動的に変更することを考える.そのための基礎研究として,まず,大きなライン長を持つRowキャッシュと小さなライン長を持つColumnキャッシュを組み合わせたRow and Columnキャッシュを提案した.動的な構成変更を実現するには,大ライン長に適したデータと小ライン長に適したデータを実行時に的確に検出し,それぞれを適切なキャッシュラインに割り当てることが必要になる.この観点から,複数のキャッシュ管理アルゴリズムを考案し,性能評価を行なった.その結果から,最初にキャッシュ書き込まれたワードを優先して小ライン長キャッシュに割り当てることで,効率的なキャッシュ運用が可能となること示した. また,プロセッサの命令スケジューリングから得られる情報を利用して,キャッシュラインの割り当てを行なう手法を考案した.この手法では,命令発行キューに長期間滞在しているロード命令を優先して,高速キャッシュに割り当てていく.これは,長期間待たされている命令が実行パス上でのクリティカルパスになりやすいというヒューリスティクスによる.スーパースカラプロセッサを対象とした性能評価結果から,長期間待たされているロード命令を優先する割り当て方式が,ヒット率は下がるにもかかわらず,高IPCを達成できるという非常に興味深い知見を得た.これは,単純にヒット率を優先したチューニングでは,現在のプロセッサに対する最適解を与えられないことを示している. 以上,タグレス化によるキャッシュの動的構成変更に向け,優先してキャッシュに格納するデータの選別の指針を明らかとした.
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Research Products
(2 results)