2006 Fiscal Year Annual Research Report
並列線形反復法における自動解法・パラメータ選択技術
Project/Area Number |
18700045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩下 武史 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教授 (30324685)
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Keywords | ILU分解前処理 / 反復法 / マルチグリッド法 / 電磁場解析 / 収束性 / 性能評価 |
Research Abstract |
1 平成18年度では、研究代表者が確立したILU分解前処理とリオーダリング法における前処理効果及び並列化手法の評価指標であるP.R.I.(Precise Remainder Index)を元に、これをアプリケーション分野に適用し、その有効性について研究を行った。具体的には、電気機器・電子デバイス等の設計に用いられる電磁場解析において、P.R.I.による収束性の評価を試み、並列処理手法の一つであるマルチカラーオーダリングにおいて適切な色数を選択する技術を提案した。また、ILU分解前処理の変形版であるシフト付きILU前処理に対する評価指標を提示し、その有効性についても示した。これらの研究成果はIEEE Transaction on Magneticsにおいて発表されている。また、提案指標であるP.R.I.について、様々なオーダリング、係数行列を使った数値実験による検証を試み、国際会議International Workshop on Collaboration between Numerical Methods and Large-Scale Scientific Computation 2006およびFirst International Workshop on Automatic Performance Tuningにおいて成果発表を行った。 2 平成18年度では、さらに高度な前処理手法であるマルチグリッド・マルチレベル型前処理の適切なパラメータ設定に関する研究に着手した。その研究過程で、研究代表者は陰的マルチグリッド法と呼ぶ、全く新しいマルチレベル・マルチグリッド型反復解法を考案した。本手法の基礎概念は情報処理学会研究報告として発表され、すでに情報処理学会論文誌(ACS)にも採択済みとなっている。本手法の新規性は論文査読者ならびに国内外の研究者から高く評価されている。陰的マルチグリッド法の有用性の検討、およびマルチグリッド・マルチレベル法における評価法の確立について引き続き研究を行っていく予定である。
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