Research Abstract |
本研究は,人間の類似判断と計算機による類似画検索の結果との隔たりを縮める一検討として,図形内に存在する群化領域を認識させる手法について検討した.まず,被験者104名を対象に図形群化に関するアンケート結果を正解データとみなし,判別分析を用いてアンケート結果の一部を反映させて認識方法を提案した.また,抽象図形74個に対し行った実験結果から,提案した群化領域の認識方法は有効であることを示した.また,動画や医用画像などの種々の画像データへの適用可能性があることを示した. 具体的な研究成果を要約し以下にまとめて示す. 1.ゲシュタルト心理学における5要因のうち,「過去の経験や知識」を除く,「接近」「類似」「閉合」「よい連続」に対する定量化(特徴量)を提案し,実験により有効性を確認した 2.アンケート結果を正解データとして,判別分析による群化領域の認識方法を提案し,実験によりその有効性を確認した 3.上記で行った実験の結果から,より人間の主観を当認識手法に反映させるためには,複数の群化パターンを考慮し群化領域の認識を行う必要があることがわかり,提案手法を改良した上で認識実験を行い有効性あることを示した 4.人間が群化を知覚するとき,局所的な領域を観察して領域群化するときと,図形全体(大域的群化領域)を観察した上で徐々に局所領域に図形を分割しながら群化を行うことが実験結果から示唆され,両者に沿った認識手法を提案した 次に,今後の課題(平成19年度への課題)を列挙する. 1.群化要因に対する特徴量の精度向上(接近要因,形状類似要因,閉合要因,連続性要因) 2.ある任意の図形における「大領域」「中領域」「小領域」の群化のような,階層的群化パターンの作成方法の確立 3.任意の図形に適した群化要因を自動選択させることによる効率よい群化領域認識の提案 4.医用画像(濃淡画像),動画像における本研究の適用方法の調査と実験
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