2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性痛リハビリテーションへ向けた錯覚に基づく仮想身体表現システム
Project/Area Number |
18700127
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上杉 繁 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (80350461)
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Keywords | 人間機械システム / 感性情報処理 / 感性デザイン / 認知心理学 / 脳認知科学 / リハビリテーション医学 / 健康・福祉工学 |
Research Abstract |
申請者は,身体イメージ(目を閉じても自身の手や腕などの空間的な位置を意識することが可能であるその身体の表象)の変化による慢性痛軽減の知見に着目した.そして,工学的なアプローチから痛みを軽減するリハビリテーション支援を目指し,腱振動刺激による運動錯覚に着目して身体イメージの再構築を促すための身体的インタフェースの設計および開発に取り組んだ.そこで,肘・手関節の屈筋2部位に振動刺激を与える手法と,振動刺激を与えている腕を外部から動かす手法を考案し,ツールを開発した.本ツールは,振動刺激装置,腕を固定する固定台,腕を外部から動かす腕位置制御機構,そして運動感覚追従機構から構成される.振動刺激装置(73×50×85[mm])は,小型で制御しやすいことを考慮し,DCモータで偏心錘(10[g])を回転させる機構を考案した.そして,コントローラ制御により,錯覚が生じやすい振動(振動数80[Hz],振幅1[mm])を実現した.腕位置制御機構1は,腕を固定し肘と同軸で動く小手(500×160[mm])に取り付けた紐を,DCモータに取り付けたプーリー(トルク12[Nm])で巻き取る機構を開発し,錯覚を生じやすくするために,小手をバネで釣ることで腕の自重を支える機能も組み込んだ.運動感覚追従機構は,創出した運動感覚にあわせて動かすよう指示した非錯覚側の腕の動きを計測するための装置である.2部位に振動刺激を与える時は,肘の動きをエンコーダ,手首の動きを3次元磁気センサで計測し,腕を外部から動かす時は,小手および反対の腕の動きをエンコーダで計測した.そして,PCからコントローラを介してモータ3chを制御し,エンコーダ2chと3次元磁気センサの計測データを記録するGUIを備えたソフトウェアも開発した.錯覚実験の結果,肘が過伸展した錯覚が生じ新たな運動感覚が創出することが確認できた.
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