Research Abstract |
本研究では,モバイル/ユビキタス環境において,アンビエント情報から詳細情報まで,なめらかな粒度の情報を傍受/操作できる新しいインタフェース技法の構築を目指し,「なめらかな粒度の情報を伝える傘型情報提示機構:PhantomParasol」と,「日常的な動作で情報の粒度を制御するインタフェース技法:AfterTouch」を提案した. PhantomParasolは,複数のLEDアレイとジャイロセンサ,およびマイコンから構成される傘型情報提示機構である.傘をさした状態では上から淡い光が降るようなアンビエント情報を,くるりまわした状態ではグラフィカルな詳細情報を提示するといったなめらかな粒度の情報提示機構を実現する. AfterTouchは,ID認識装置とさまざまなセンサを組み合わせて,IDを認識した後にユーザの日常的な動作(押す,まわす・・・etc)を続けて行うことで,単機能のIDシステムから複雑な操作へと,情報の粒度をなめらかに切り替えられる入力インタフェース群である.日常生活の場面に応じて,適切な追加操作は異なるため,複数のAfterTouchデバイスを提案した.その一つ,Touch&Downは,RFIDリーダーと圧力センサを組み合わせたシステムであり,RFIDタグ(カード)を置いて,それを押し込むことで,単純なIDシステムを拡張するアプローチである.たとえば,現在のEdyなどの電子マネーシステムは1bitの入力装置であり,カードを置くまでは何が起こるかわからず,気づけば課金されていた,という状況が起こりうる.Touch&Downを利用すれば,Edyを置くと課金金額のプレビューを行い,そのまま押し込むことで課金を完了するシステムを構築できる.こうした操作は,印鑑を紙に当てて押し込むという一般的なメタファを用いて,ユーザの意思確認のプロセスを追加できるため,より直感的で使いやすい認証機構として機能すると考えられる. 今後は,これらの成果を基盤としつつ,なめらかな粒度の情報提示/操作に着目したさまざまなユビキタス・インタフェースについて随時模索し,提案/試作を行う.
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