Research Abstract |
マンモグラフィ(乳房X線撮影)検診は乳がんの早期発見等に有効であるが,画像の読影に熟練を要すため,計算機により疾患候補領域を自動検知し読影を支援するCAD(computer-aided detection/diagnosis)システムの開発が進められている。これまでに,乳がんが画像上で呈する主特徴のうち,微小石灰化(細胞の壊死に伴うカルシウム沈着)および腫瘤陰影については病変候補として検出するCADシステムが既に実用化されており,米国では保険適応となる段階にまで到達している。しかしながら,他に乳がんの重要な特徴である乳腺構築の乱れ(歪みなど)に関しては精度の高い検出アルゴリズムが提案されておらず,その開発実用化が喫緊の課題となっている。本研究では,この乳腺構築の乱れを検出・評価する手法を新規に開発し,より有用性の高い乳がん・乳腺疾患診断支援システムの構築を目指している。 研究初年度にあたる本年度は,研究準備,既存手法の実装・評価,画像特徴量セットの構築およびマイニングシステムの構築を行った。具体的には以下のとおりである:(1)高精度デジタルマンモグラフィ画像の解析に適した画像処理用ワークステーションを導入,(2)現有マンモグラフィ画像(健常例,症例各8例)を対象に,入出力および基礎的な乳腺領域の区分処理(線分領域抽出等)を上記WS上に実装,(3)微小石灰化,腫瘤陰影,乳腺構築歪みに関する既存の検出法に関する有効性の検討(H19前期まで継続中),(4)濃度,勾配,位相,周波数成分に関する特徴抽出フィルタを視野スケールごとに構築,(5)ラフ集合論に基づくマイニングシステムを開発実裝。現在,上記システムを用いて構築乱れの有無と対応する特徴量組を導出するための基礎実験を実施中である。
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