2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド数理モデルによる時系列データからの相互関係自動導出法に関する研究
Project/Area Number |
18700161
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 康司 早稲田大学, 付置研究所, 講師 (30421225)
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Keywords | アルゴリズム / 数値最適化 / 生体生命情報学 / グリッド |
Research Abstract |
遺伝子ネットワークなどの同定は、対象となる相互関係を数理モデルで表現し、得られた時系列データを再現するように数理モデルを数値最適化することで行うが、扱うデータが非常に膨大で、対象とする系も大規模であることから、相互関係を自動導出するための高速かつ高精度な手法はまだ確立されていない。 相互関係の自動導出において、一般的に数理モデルには質量作用則表記またはS-system表記が用いられるが、それぞれにメリット・デメリットがあり、質量作用則表記では、相互関係の詳細な記述が可能で高精度である反面、最適化対象となるパラメータが非常に多く高速化が困難である。一方、S-system表記では、最適化対象となるパラメータが質量作用則表記に比べ少なく高速化が可能である反面、質量作用則表記の近似式であるため、相互関係の記述が概略にとどまる。 本研究では、グリッド技術を用いた大規模分散並列処理およびハイブリッド数理モデルを融合した新しい数値最適化手法を提案し、高速かつ高精度な相互関係自動導出法を確立し、その有効性を示すことを目的としている。 本年度は、質量作用則表記およびS-system表記それぞれのメリットを採り入れたハイブリッド数理モデルを用いて時系列データから相互関係を自動導出する手法を提案した。具体的には、まず数理モデルにS-system表記、最適化手法に遺伝的アルゴリズムを用いて、相互関係の概略を導出する。次に得られたS-system表記の数理モデルを拘束条件として、数理モデルに質量作用則表記、最適化手法に遺伝的プログラミングを用いて、詳細な相互関係を導出するものである。提案手法に基づいて、プロトタイプシステムを開発した。また平行して実験環境を構築した。構築した実験環境上で、人工的に作成した単純な時系列データを用いて、開発したプロトタイプシステムの評価を行い、提案手法の有効性を確認した。
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