2006 Fiscal Year Annual Research Report
近接光源下における物体の見えの解析とその認識・モデリングへの応用
Project/Area Number |
18700168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 孝弘 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00396904)
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Keywords | コンピュータビジョン / 画像パターン認識 |
Research Abstract |
近接光源は,物体表面上において光源のみかけの方向が変化したり逆二乗則に従って照度が減衰したりするなどの,非線形な現象を引き起こす.本研究課題では,(1)非線形性の回避と(2)非線形性の積極的な利用という二つの異なる側面から研究を行った. 前者の着想は,物体表面上の微小領域に注目すると,領域内では光源の方向と距離の変化が小さいために,平行光線を仮定した技術を近似的に適用できることにある.つまり,近接光源下において撮影された物体の画像を分割することで,あたかも平行光線下において撮影されたかのように扱う.この着想に基づいて,近接光源下における物体の見えを近似するための画像分割について,以下の三つの知見を得た.第一に,近接光源下の物体の画像を矩形に分割して平行光線を仮定した画像生成法を適用したときの,画像の近似精度を実験的に評価することで,画像分割そのものの効果を確認した.第二に,近接光源下における物体の見えを近似するための画像分割法を提案して,合成画像と実画像を用いた実験によりその有効性を確認した.第三に,顔認識への応用の可能性を検討した.特に,最適な分割結果は顔形状に依存するものの,認識対象人物の三次元形状が得られない場合には,多数の顔形状データから計算される平均顔に対する分割結果で代用できることを示した.また,画像分割は光源分布の確率密度に依存するため,実世界環境の確率密度に応じて適切な分割を行う枠組みも提案した. 後者については,未較正照度差ステレオにおける近接光源の影響を調べた.平行光線とランバートモデルを仮定した場合の未較正照度差ステレオでは,復元した形状に不定性があることが知られている.本研究では,近接点光源下における陰影を手掛かりにして,この不定性を解決できる可能性があることを示した.
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