Research Abstract |
より自然性を有する音声合成システム開発として, 音源にゆらぎを考慮することを検討することを目的とし, 本年度は, 非定常音源の解析, 及び評価を行った. 特に左右の声帯の特性が非対称な場合に生成される音声のゆらぎを検討し, 合成音の音源開発の基礎データ取得, および喉頭疾患解析の基礎検討を行った. 提案したモデルは, 声帯を特徴付けるパラメータとして, 「声帯の力学的パラメータ(密度, 弾性率, 粘性率)」, 「声帯の形状(声帯の厚さ, 深さ, 及び喉頭中心からの距離)」の6種類で制御される. これら6種類のパラメータを変化させた, 声帯音源モデルとする. 特に左右のパラメータが非対称になるような条件でモデル化, 及び数値シミュレーションを行い, 声帯の非対称性と生成音のゆらぎの関係を検討した. 平成19年度に開発したゆらぎ評価プログラムを用いて, シミュレーションにより得られた生成音の, 基本周波数, 振幅, 及び波形ゆらぎを評価した. 評価の結果, 声門の非対称性が増加することで, 生成音に含まれるいずれのゆらぎも増加する結果であった. また, 被験者より収録した音声に含まれるゆらぎと比較を行ったところ, 対称声帯モデルによるシミュレーション音声のゆらぎとほぼ一致したが, 非対称性の増加と共に収録音声のゆらぎの範囲より大きなゆらぎとなった. このことから, 提案した声帯音源数値もモデルが喉頭疾患の評価へも応用できることを示した.
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