2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境変化の予測を考慮した運動パターン形成メカニズムの数理的解明
Project/Area Number |
18700198
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伊藤 聡 岐阜大学, 工学部, 助教授 (70291911)
|
Keywords | 知能ロボティクス / 知能機械 / モデル化 / サイバネティク |
Research Abstract |
環境の変化に柔軟に適応する振舞いおよびそれを生み出す知能の工学的実現には,環境との相互作用ならびに内部情報(記憶)の形成,運動に関する適切な出力構成という情報学的な立場からの運動解析やシステム構成が必要である.本研究では人の平衡制御に着目し,動物の運動の適応的な特徴を記述する数理モデルを構築し,その実環境での動作実現を目指している.特に制御に「予測」という要因が加わると制御性能がどのように改善されるのかに関し,「床反力」情報を軸に解析した. 床反力は未知環境下において平衡を維持するのに有効な情報である.われわれはこれまで,未知の外力が働く環境下において静的なバランスが維持されるように,床反力情報を利用する制御法を提案してきた.そこでは,床反力の積分フィードバックが重要な役割を果たしていたが,速応性の面で問題があった、そこで本研究では予測という観点からその変化率にあたる微分信号,すなわち床反力の比例フィードバックを導入した制御方法を考案した. 提案した制御方法に関し,安定性および速応性の観点から解析を行った.足関節トルクと床反力変化との間の因果関係を記述するため,解析は離散化した差分ダイナミクスで行った.これによりフィードバック・ゲインをうまく選ぶと直立姿勢の安定化が可能なことが分かった.また,速応性に関しては床反力の比例フィードバック・ゲインに関する根軌跡法およびシミュレーションによる時間応答により,その改善について検討した.比例フィードバックの導入により僅かながら速応性が改善されるが,代表特性根を変化させることができないため,根本的な解決が難しいことが分かった.
|