2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境変化の予測を考慮した運動パターン形成メカニズムの数理的解明
Project/Area Number |
18700198
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伊藤 聡 Gifu University, 工学部, 准教授 (70291911)
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Keywords | 立位平衡制 / 運動計測 / CoP / 安定性 / 応答性 / 運動パターン / 環境予測 |
Research Abstract |
本研究では,環境の変化に柔軟に適応すると振舞い及びそれを生み出す知能の工学的実現を目的に,環境変化の予測という観点からその情報を有効に利用できる制御方法について考察してきた。簡単な例として,ヒトの平衡制御を例題とし,その運動計測から特徴を簡明に記述する数理モデルを構築し,ロボットで実現するアプローチで研究を行った。運動計測として,前後に動く傾斜台の上にヒトを立たせ,傾斜台を前後に周期的に動かした。運動の周期性より傾斜台の動きが予測できることから,各試行の比較で予測の効果が見られると期待できる。結果として,床反力中心(CoP)の周期的挙動の位相が試行を経るごとに振動台の動きよりも進んでいく現象が計測できた。一方,それとは別にロボットの平衡制御に床反力情報をフィードバックする方法について検討した。先行研究で床反力中心の積分フィードバックを導入したが,応答性に問題があった。その改善を予測性に期待し,主要信号の微分,すなわちこの制御法の効果は床反力の積分フィードバックによるので,その微分にあたる比例フィードバックを導入し,解析・実験を行った。線形化,離散化による解析により,比例フィードバックゲインでは大きく動かない特性根が複素平面上の1付近に存在することがわかった。その影響で,比例フィードバックでは大きな応答性の改善は見込めないが,他の特性根との絶対値の大小関係によっては効果があることが示された。今後は,ヒトの計測結果で得られた知見をより多く反映させた制御法について考察する必要がある。
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