Research Abstract |
本年度は,実際の手術中に計測した5名分の計測データを用い予備解析を行なった. 解析には,手術中の内視鏡映像,手術室内映像,患者の心拍数,連続血圧値,呼吸波形を用いた. 内視鏡映像に基づき,手術中に行なわれる操作を,鼻腔内の操作部位(18部位),使用器具(鉗子,吸引器等の全17種),操作種(休憩,押し,ひっぱり等の20種)に分類し,これら3指標に基づいて各患者の手術進行を区間分割した. 鉗子等の手術器具を鼻腔内に挿入し何らかの操作を行なっている区間について,心拍数(HR)と最高血圧(SBP)変化量の相関を求めた結果,各患者の相関係数にばらつきが見られた(r=.722(p<.01),r=.739(p<.01),r=.052(p=.627),r=.105(p=.388),r=.420(p<.01)).これらHRとSBP変化のパターンは,患者が知覚する痛みや圧迫感・振動の有無と,それらに起因するあえぎや力み動作の有無の組合せが影響を与えていると仮定し,あえぎや力みの結果現れると考えられる呼吸波形の特徴的な形状に注目した. ここで,呼吸停止や呼吸高のばらつき等の形状特徴を表す10種の指標を用意し,これらをHR変化方向(+,-)およびSBP変化方向(+,-)の説明変数としてベイジアンネットワークによるモデル構築を行なった.この結果,SBPについてHRのみを説明変数としたモデルと比較し,最大27%(平均13%)の再現率向上を達成し,平均再現率88.4%(最低80.0%,最高94.5%)まで向上させた. また,局所麻酔下鼻内手術シミュレーションのための,3次元CG鼻腔内モデルと鼻腔内粘膜・骨構造の開放操作用インタフェースを構築した.
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