Research Abstract |
本研究では,人とロボットが共生する社会において,温かな印象を人に与え,生命感を持ち,人に飽きられることなく,人にとってかけがいのない存在となりうるロボット(コンパニオンロボット)の実現を目指している.今年度は,人の行動原理や行動軌跡を参考とし研究を進めた.以下にその概要を示す. 1.人の飽きのメカニズムとロボットの行動生成原理について ロボットの行動生成原理として,1.好奇心と飽きに基づく行動生成,2.興味度に基づく行動生成の2種類について検討した.前者については,ロボットが立てる人の予想行動と実際の人の行動が同じであるときに,ロボットは好奇心を持ち,その行動を続けるが,人が同じ行動ばかり続けるとロボットは飽きを感じ,行動を変化させるというものである.しかしながら,実際の人の感性では,"予想がある程度当たり続けた後,はずれる",逆に"予想がはずれ続けた後,当たる"場合,興味深い(面白い)と感じる.そこで,後者の行動生成原理では,Stanleyの提案している馴化のモデルを採用し,上述の応答を模擬できるモデルを作成した. 2.ロボットの行動生成プログラムについて これまでは,ロボットの基本行動を"後追い,逃げ,無干渉,無行動"の4種類としていたが,本研究では,人の行動を再分析し,それらを,自発的行動(先導者の行動とは無関係に起こる行動)と他発的行動に再分割し,前者として"後追い・逃げ",後者として"近づき,離れ,静止,その他"を考えた.また,軌道生成にはスプライン曲線を用いた.その理由は,スプライン曲線は人の描くなめらかな軌跡を生成するのに適しているからである.スプライン曲線の生成手法には数種類のものが存在するが,その中で申請者は,人の行動軌跡を模擬するのに適しているCatmull-Romスプラインを用いた. 上記の1と2を踏まえて,大学生9名と教員1名に対して,人対人を含む計8パターンのロボットの印象評価を行った.「全行動パターンのうち,どのパターンが人が動かしていたものだと思いますか?」という質問に対して,7名が"人対人"以外の行動パターンを答え,そのうち5名が本研究で作成した行動パターンを選んだ.すなわち,多くの人をだませる程度の行動を生成することができたと言える. その他,実機の設計・製作に取り掛かった.
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