2008 Fiscal Year Annual Research Report
マスキング効果を利用した知的作業のための音環境デザイン
Project/Area Number |
18700217
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
為末 隆弘 Shinshu University, 工学部, 助教 (00390451)
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Keywords | 音環境 / 知的精神作業 / マスキング効果 / 有意味雑音 / 無意味雑音 / 心理評価 / うるささ / 作業成績 |
Research Abstract |
前年度に実施した脳波測定実験により、種々の騒音が存在する知的作業空間内でマスキング音を放射した場合、選択的注意・集中に密接に関連すると考えられている前頭正中部Fmθ波や事象関連電位(ERP : Event related potential)中の刺激提示後約100ms後に観測される陰性成分(N100)および約250〜600ms後の陽性ピーク(P300)に差異が現れることを確認した。本研究では、上記の結果の妥当性・信頼性を検証する目的で、騒音の音圧レベル値、作業の種類や継続時間等のパラメータを種々変化させて、多人数の被験者に対して追加測定を行った。 1. 聴覚や視覚を用いた様々な知的精神作業の課題出力・回答入力に柔軟に対応できる、PCをベースとした視聴覚作業評価用入出力インタフェース・システムをグラフィック型プログラミング言語LabVIEW (National instrument社)を用いて構築し、作業時に有意味雑音を「聞き流そうとしている」状態において、定常音または音楽・自然音等の変動音をマスキング音として放射した場合の脳波解析を行った。 2. 多数の被験者に対する脳波測定の結果、騒音の違いによりN100およびP300振幅に有意な差が認められ、主観評価結果や作業に対する正答率・反応時間との対応から、音声のスペクトル形状を模擬した定常騒音をマスキング音として用いることで有意味騒音による作業妨害を軽減できる可能性が示唆された。また、マスキング音に対する主観的好み・嗜好は、作業成績との関連性が小さく、個人差が大きいことがわかった。
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