2006 Fiscal Year Annual Research Report
認知モジュールと環境要因の相互作用による音声学習の発現過程
Project/Area Number |
18700264
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 美樹 独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, リサーチアソシエイト (90415216)
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Keywords | 動物行動学 / 神経行動学 / 音声学習 / 生得的基盤 / 鳴禽類 / ジュウシマツ / 家禽化 |
Research Abstract |
本研究では同種内(ジュウシマツはコシジロキンパラの亜種)の遺伝的変容を元に、歌学習を構成する認知モジュールを行動学的に分離し、かつ雑種作出により認知モジュールの生得的基盤をも分離する。その上で、環境要因を操作することで、遺伝と環境の相互作用の包括的理解を目的とする。 今年度は第一世代の歌の特徴を詳細に記述すること、雑種交配によるF1の作出をおこなった。また、ジュウシマツの近縁種であるキンカチョウとの雑種交配、歌の記録を行い、論文にまとめた。 第一世代の歌の記述はこれまで実験者が歌要素を特定し、その遷移規則を計算する方法をとってきたが、大量の歌データから歌要素を切り出し、周波数特性や長さなどの情報からクラスターにわける手法を、プログラムを開発したニューヨーク市立大学のTchernichovski博士から習得した。 ジュウシマツとコシジロキンパラの雑種交配で二羽オスが生まれ、その歌学習過程の記録もおこなった。ジュウシマツ様の歌をうたうことがわかった。キンカチョウは、コシジロキンパラと同様の線形な歌をうたい、コシジロキンパラの対照として用いた。ジュウシマツとの雑種交配は一羽、里子実験が二羽オスが生まれた。里子実験では、キンカチョウの方が歌要素数が少なく、記憶容量に生得的制約があると考えられる。雑種の場合、歌学習はできたが、成鳥になっても地鳴きが安定せず、歌学習と地鳴きの学習は同時期に起こるが、異なるメカニズムのうえに成り立っていることが示唆される(Ornithological Scienceにて発表済み)。
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Research Products
(1 results)