2006 Fiscal Year Annual Research Report
脈波データに対するカオス時系列解析法の開発及び脈波のカオス性と動脈硬化との関連
Project/Area Number |
18700270
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米本 孝二 九州大学, 大学院・医学研究院, 学術研究員 (90398090)
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Keywords | 交差検証法 / カーネル推定 / 埋め込み次元 / 遅延時間 / リヤプノフ指数 / 脈波 / カオス |
Research Abstract |
脈波データに対するカオス時系列解析手法の開発のために下記のような研究を行った 1.ダイナミックノイズを含むカオス時系列に対し、埋め込み次元、遅延時間を推定し、推定された埋め込み次元、遅延時間のもとでスケルトンをカーネル推定を用いて推定し、推定されたスケルトンを用いてリヤプノフ指数を推定するというリヤプノフ指数推定法を開発し、その一致性を証明した。 2.我々はダイナミックノイズを含む非線形自己回帰モデルのもとでカーネル推定量と交差検証法を用いた埋め込み次元と遅延時間の推定法を提案しているが、その手法を脈波データに適用すると遅延時間が1で埋め込み次元が2次元や3次元を選択してしまい、スケルトンの推定がうまくいかなかった。これはカーネル推定が1ステップ先予測になっており、高い自己相関のためにこのような遅延時間と埋め込み次元が得られるのだと考えた。そこで、カオスの短期予測可能性を考え、1ステップ先予測だけではなく、kステップ先予測を考えることで脈波の埋め込み次元と遅延時間の推定が行えるのではと考え、そのための数値計算プログラムを作成し、数値実験を行った。まずエノン写像やコサイン写像にその手法を適用してみた。するとkがちいさければ1ステップ先予測でなくでも正しい埋め込み次元と遅延時間が推定できることが分かった。次に手法を脈波データに適用してみた。従来の手法で選ばれた遅延時間が1で埋め込み次元が2次元や3次元のときは、kが大きくなるにつれて交差検証法の値がどんどん大きくなり、そのような次元では全く予測がうまくいかないことが分かった。そして遅延時間=1のとき100次元以上の次元が必要となりそうなことが分かった。また、適当な遅延時間の下では低い埋め込み次元で良さそうなことが分かった。
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