2006 Fiscal Year Annual Research Report
因果推論のためのモデル開発および調査データへの応用
Project/Area Number |
18700277
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
酒折 文武 立教大学, 社会学部, 助手 (90386475)
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Keywords | 因果分析 / 潜在クラスモデル / 反事実モデル / 傾向スコア / 局所独立性 / 調査データの補正 |
Research Abstract |
初年度である本年度は、潜在クラスモデルを用いた共変量調整法について、理論的な整理と計算機シミュレーションによる検討を中心におこなった。 本科研費取得前の準備段階までの成果をまとめた論文(日本統計学会誌に採択,2006年9月発刊)の内容を踏まえ、本年度は理論研究とR言語を用いた計算機シミュレーションをおこなった。それらの結果として、(i)提案したモデルはある程度有用であり因果効果の一致推定を行うことができること、(ii)共変量と割り付けとの問のモデル化が適切でない場合の傾向スコア法は不適切な補正を行ってしまうのに対し提案モデルはモデルのズレに強いこと(iii)提案モデルは共変量の数が増えると必要なクラス数が多くなり推定が不安定となってしまうこと、などその実用性と限界が明らかとなった。また実際の調査データに関して提案モデルや既存の諸手法(回帰分析、傾向スコア法)を用いた補正の比較をおこなった。 これらの研究成果を、日本計算機統計学会第20回記念大会(5月)、統計数理研究所共同研究集会・統計サマーセミナー2006(8月)、科研費研究集会(研究代表者:山口和範)(12月)、日本行動計量学会岡山地域部会第21回研究会・第121回岡山統計研究会(3月)等で発表した。 現在は、これらの結果を受けて、比較的少ないクラス数で各共変量と割り付けとが局所独立になるモデルを検討している。具体的には、共変量問の連関を許す新しい統計モデルについて理論的に研究をおこなっている。
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