2007 Fiscal Year Annual Research Report
因果推論のためのモデル開発および調査データへの応用
Project/Area Number |
18700277
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
酒折 文武 Chuo University, 理工学部, 専任講師 (90386475)
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Keywords | 因果推論 / 潜在クラスモデル / 傾向スコア / 反事実モデル / 調査データの補正 |
Research Abstract |
2年目である本年度は、昨年度明らかとなった問題点の改善をめざした。とくに、現在のモデルの適切な評価基準と新たな統計モデルの導入について、理論研究と計算機実験を用いて研究遂行した。 まず、数々の計算機実験により、潜在クラスモデルにおけるモデル選択基準として一般に用いられるAIC、BICなどを用いて、本モデルのクラス数選択を行うのは不適切であり、それらの基準で選択されるクラス数よりも多いクラス数をもつモデルを用いたほうが因果効果の推定を行うには適当であることが確認された。しかしながら、別の基準を導けたわけではなく、この点については引き続き研究を進める必要性がある。 また、本年度計画していた共変量間の連関を許すモデルについては、理論的な問題から全ての共変量間の連関を許すことは難しいことがわかった。さらに一部の連関を許すことにするとその恣意性の問題があり、今後の検討課題である。 その一方で、潜在変数をもう1つ導入した2因子モデルの適用について検討を行っているところである。この潜在変数の導入により因果効果の推定の精度が向上することが期待される。理論的な困難の克服や計算機実験による評価については今後の課題である。 これらの研究成果を、New Trends in Psychometrics に論文として投稿しアクセプトされた。また、International Meeting of the Psychometric Society(7月、招待講演)、統計数理研究所共同研究集会 統計サマーセミナー2007(8月)、2007年度統計関連学会連合大会(9月)、The 9th Japan-China Symposium on Statistics (9月)にて研究発表を行った。
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