2006 Fiscal Year Annual Research Report
epsilon法によるEMアルゴリズムの加速化と数理的構造解析の研究
Project/Area Number |
18700279
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
黒田 正博 岡山理科大学, 総合情報学部, 講師 (90279042)
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Keywords | EMアルゴリズム / vector epsilonアルゴリズム / 欠測データ / 収束スピード / 加速化法 |
Research Abstract |
本課題研究では,EMアルゴリズムの単純性と安定性を失うことなく収束スピードを加速するe-accelerated EMアルゴリズムを提案した.この加速化アルゴリズムでは,従来の改良型EMアルゴリズムが反復関数を改良するのではなく,EMアルゴリズムにより生成される推定値の列を利用して収束スピードの加速をおこなう.この加速化EMアルゴリズムでは,vector epsilonアルゴリズムを組み込みの加速をおこなった. 数値実験によるEMアルゴリズムとの性能比較をおこなった.具体的には,推定精度と収束までの反復回数,収束スピードの比較を行い以下の結果を得た. -最尤推定値に収束するまでの反復回数がEMアルゴリズムの1/3から1/10である -e-accelerated EMアルゴリズムにより生成される推定値の反復列の収束に至るまでの振る舞いが,EMアルゴリズムの加速法になっている(EMアルゴリズムよりも必ず速く収束する) さらに各反復において,対数尤度関数の値が単調増加(厳密には非減少)となっており,EMアルゴリズムの好ましい特性を保持していることもわかった.これは,これまでに提案されたEMアルゴリズムの加速化法にはない特性であり,e-accelerated EMアルゴリズムの安定性を示す結果となっている.これらの結果は,提案したe-accelerated EM法の高い性能性と有効性を十分に示すものであった.理論的には,e-accelerated EMアルゴリズムがEMアルゴリズムと同じ値に収束するという収束性の定理と,パラメータが1変数の場合は,EMアルゴリズムより速く収束する(加速化性)の結果を得た.
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