2006 Fiscal Year Annual Research Report
ドッキングシミュレーションのための異方性を考慮した溶媒効果の評価法の開発
Project/Area Number |
18700292
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
秦 季之 福山大学, 薬学部, 講師 (90289281)
|
Keywords | 溶媒効果 / 空間分布関数 / 水和構造 / モンテカルロシミュレーション / アミド類 |
Research Abstract |
本研究では空間分布関数(Spatial Districution Function : SDF)を用いた水和構造の予測法の開発のための基礎的研究として、疎水基の異なる8種類のアミド類の水和構造を分子シミュレーション手法の一つであるモンテカルロ法によりSDFを求め、その疎水性基の違いが水和構造に及ぼす影響について考察した。その結果、第一に、アミド類の第一水和殻はアミド類の酸素原子が持つ非共有電子対と水の水素原子が水素結合するhydrogen acceptor(HA)領域、アミド類の窒素原子に結合する水素原子と水の酸素原子が水素結合するhydrogen donor(HD)領域及びアミド類のアルキル基と水分子が相互作用した疎水性水和のhydrophobic hydration(HH)領域に分類することができた。また、アミド類の水溶液のHAとHD領域の水分子の空間的な配向はいずれもlinear型であった。第二に、HA領域における疎水性基の影響は、1)HA領域の結合エネルギーはすべての置換基がメチル基であるアミドが最も安定となり、メチル基が増加した場合の結合エネルギーの変化量では、アミノ基の一つの水素原子がメチル基に置換したアミドのうち、メチル基がカルボニルの酸素と同じ側にあるN-methylformamideとN-methylacetoamideが最も溶媒水の結合エネルギーが安定する割合が大きくなった。2)HA領域の安定性はカルボニル基の炭素に隣接する置換基によって大きく変化した。
|