2007 Fiscal Year Annual Research Report
突然変異ダイナミクスによる発がん過程での腫瘍の形態的変化の計算機シミュレーション
Project/Area Number |
18700294
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大内 則幸 Japan Atomic Energy Agency, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (30370365)
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Keywords | 発がんモデル / 突然変異ダイナミクス / Cellular Potts Model / 成長曲線 / がん成長曲線 |
Research Abstract |
低線量の放射線による生物影響は、遺伝子の突然変異による疾患である発がんがその最たるものであり、またその研究はDNAを対象としたものへとシフトしている。近年、細胞の物理的形状とDNA合成や細胞死の関係や被ばく細胞集団において見られる一種の集団効果(バイスタンダー効果)が発見されてきた。これら近年見つかってきた新たな知見を元にした低線量での発がん過程の解明を目標にして、細胞集団の発がんモデルを構築し、形態学的な観点から発がん過程の研究を行っている。 本年度は主に発がんリスクにとって非常に重要である腫瘍のサイズの時間変化、腫瘍の成長曲線に関する計算と解析を行った。これまでと同様な、2次元に拡がった細胞系において、腫瘍が時間とともにどのように増大していくかを突然変異、細胞死といったパラメータを変化させて計算したところ、腫瘍の発生/非発生において明確な閾値が存在すること、さらに成長曲線に関しては古くからがんの成長曲線としてよく知られる、Gompertz曲線に非常によくフィットすることがわかった。モデルにおいて導入しているダイナミクスは多段階の発がん過程、細胞死、細胞分裂、細胞自体の成長といった要素だが、そのようなシンプルなモデルからGompertz型の成長曲線が再現できたことは、今後の腫瘍の成長における重要なキー因子の発見に対する寄与が期待される。
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