2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の移動時におけるCaシグナル伝達系とCl-の相関関係
Project/Area Number |
18700313
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
熊田 竜郎 浜松医科大学, 医学部, 助手 (00402339)
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Keywords | FRET / 細胞移動 / カルシウムイオン / 塩素イオン / 大脳皮質 / 神経発生 |
Research Abstract |
大脳皮質の錐体細胞の移動における細胞内シグナリングを調べるために、移動中の細胞に対して特異的にFRET型Ca^<2+>インディケーターであるyellow-cameleonを導入して、タイムラプスFRETイメージング法を用いて細胞内カルシウムレベルの変動を調べることを試みた。実際には、胎生14日齢のICRマウス胎仔の脳室内にyellow-cameleon遺伝子を発現するプラスミドDNAを注入後、子宮内電気穿孔法を用いて脳室周囲の神経前駆細胞にDNAを導入した。その後、時間経過(母体内で1-7日間育てた)と共にyellow-cameleon陽性細胞は大脳皮質の軟膜方向へと移り変わっていく様子が観察できた。これらのことは、yellow-cameleonが大脳皮質を移動している神経細胞に導入されていることを示す。同様にFRET型Cl^-インディケーターであるClomeleonも移動中の神経細胞に導入できた。 次にFRET型Ca^<2+>インディケーターにより、脳組織内の細胞内カルシウムの変動を捉えられるかを調べるために、遺伝子導入4日後にyellow-cameleonを発現する脳スライスを用いて、GABAに対する応答性を調べた。その結果、yellow-cameleonを構成するCFPとYFPの輝度が相反して変化することを見出した。さらにそのFRET比の変動の様相は、蛍光指示薬のCa^<2+>インディケーターの導入時に認められるGABA依存性のCa^<2+>流入によるCa^<2+>オシレーションパターンと酷似したパターンを示した。 今後、確立したFRETイメージングの系を用いて、急性脳スライス標本や培養標本を用いて、詳細に組織中を移動する細胞に見られる細胞内Ca^<2+>、Cl^-変動をより詳細に検討する予定である。
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