2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700314
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有村 奈利子 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助手 (20420375)
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Keywords | 軸索 / 神経細胞 / CRMP-2 / 極性 / TrkB / 輸送 |
Research Abstract |
脳神経系は極めて精巧な神経回路網を有する。このような神経回路網の形成には、軸索と樹状突起という2つの異なる神経突起が複雑にシナプスを形成することで機能している。しかしながらこれらの突起の形成メカニズムについては不明な点が多い。 以前私はcollapsin response mediator protein-2(CRMP-2)が軸索の伸長や退縮に関与することを明らかにしてきた。さらに近年、CRMP-2が軸索/樹状突起の運命決定を担い、極性形成や軸索伸長に重要な役割を果たすことが提唱されている。最近我々はCRMP-2がsynaptotagmin-like protein 1(Slp1)と結合することを明らかにした。Slp1はRab27と結合し、小胞輸送に関与することが示唆されている。我々はCRMP-2が、Slp1/Rab27Bと複合体を形成することを明らかにした。Slp1は神経突起先端の成長円錐で小胞様の局在を示した。Slp1は、神経成長因子の受容体であるTrkBと共局在した。TrkBはSlp1/Rab27Bと複合体を形成することが示唆された。また、Slp1結合分子を免疫沈降法にて探索したところ、Kinesin-1のサブユニットKIF5とKLCが同定された。この結合はCRMP-2を介している可能性が示唆された。TrkBの動きをタイムラプス法で確認すると、突起の先端に向かう順行性の動きと細胞体に戻る逆行性の動きが非協調的に見られることが明らかになった。また、siRNA干渉法にてslp1やCRMP-2, KLCの機能を阻害すると、TrkBの動きが抑制されることが明らかになった。以上の結果から、極性形成を制御するCRMP-2は様々な分子と相互作用し、細胞内輸送を制御している事が明らかとなった。
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