2006 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-modal可塑性における代謝型グルタミン酸受容体の役割の解明
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18700317
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田川 義晃 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (50303813)
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Keywords | 脳神経 / 発達 / 視覚 / グルタミン酸受容体 / 可塑性 / 大脳皮質 / 遺伝子欠損マウス / 神経活動依存的 |
Research Abstract |
発達期の片眼、両眼視覚機能欠損に伴う脳神経回路の可塑性の分子メカニズムの解明を目的として、視覚入力遮蔽によって遺伝子発現レベルが変化する分子の1つである代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ1(mGluR1)に注目して解析を行った。生後20-35日マウスの片眼、両眼視覚入力遮蔽によって、大脳皮質視覚野2/3層においてmGluR1 mRNAの発現レベルが増加した。mGluR1 mRNAの発現はマウス大脳皮質視覚野において2/3層の多数の細胞と全層に散らばってぽつぽつと存在する細胞に認められ、double in situ hybridizationによって前者はCaMKII陽性の興奮性神経細胞、後者はSomatostatin陽性の抑制性神経細胞であることが確認された。mGluR1にはC末端領域が大きく異なったmGluR1aと1bという2つのsplice variantがある。両者を認識するmGluR1抗体は皮質2/3層興奮性細胞と全層に散らばる抑制細胞両方を染めたが、mGluR1a特異的抗体は後者のみを染めたことから、皮質2/3層興奮性細胞において発現し、視覚入力遮断によって発現制御を受けるのはmGluR1bであることが示唆された。 mGluR1が大脳皮質視覚野の可塑性において果たす役割を明らかにするため、mGluR1欠損マウスの眼優位性可塑性を野生型マウスと比べる実験を行っている。現在のところ両者に大きな差は認められていないが、手法として用いている神経活動依存的分子Arcのin situ hybridization(Tagawa et.al.,2005)の特徴を生かし、眼優位性変化を皮質各層ごとに解析して詳細な比較を行う。さらに眼優位性可塑性以外の視覚機能欠損に伴う機能的、解剖学的可塑的変化を探索するため、大脳皮質内神経回路を可視化する実験系の開発を試みている。
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