2008 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-modal可塑性における代謝型グルタミン酸受容体の役割の解明
Project/Area Number |
18700317
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田川 義晃 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (50303813)
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Keywords | 脳神経 / 発達 / 視覚 / 可塑性 / 大脳皮質 / 神経活動依存的 / GFP / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
マウスの大脳皮質内神経回路網の解剖学的・機能的なつながり(神経連絡)を可視化し、その神経活動依存的な発達機構解明をめざす実験を行った。子宮内電気穿孔法を用いて片側大脳皮質2/3層細胞に選択的にGFPを遺伝子導入し、遺伝子導入側から反対側大脳皮質へ伸びる脳梁軸索をGFPで標識して、その領域特異的・層特異的投射パターンを可視化した。さらに、神経活動を抑制させる分子ツールKir2.1(内向き整流性K+チャネルの1つ)を同時に遺伝子導入し、脳梁軸索投射形成における神経活動の役割を明らかにした(Tagawa et al., Rev. Neurosci., 2008)。また、活動依存的な脳梁軸索発達機構をさらに明らかにするため、局所的な電気穿孔法によって少数の脳梁投射細胞にGFPを遺伝子導入する、新しい遺伝子導入法を確立した。具体的には、生後2日目の電気穿孔法によってマウス皮質2/3層から反対側皮質へ伸びる少数の脳梁軸索を可視化して、1本1本の軸索の形態を再構築した。次に、シナプス前・後細胞へKir2.1を発現させて神経活動を特異的に阻害する実験系と組み合わせ、脳梁軸索投射形成におけるシナプス前・後細胞の神経活動の役割を解析した。シナプス前細胞の活動を抑制すると、生後9日目までの軸索の皮質内侵入と成長が阻害され、生後15日目までその効果が認められた。一方、シナプス後細胞の活動抑制では生後9日目までの軸索発達に大きな影響は見られず、生後9〜15日目の軸索分枝発達が障害された。以上の結果により、大脳皮質間軸索投射に神経活動依存的な発達段階があること、シナプス前・後細胞がそれぞれ重要な役割を担うことが示唆された。
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Research Products
(2 results)