2006 Fiscal Year Annual Research Report
大脳錐体細胞の構造と機能による分類と遺伝子発現プロファイリング解析
Project/Area Number |
18700328
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
大塚 岳 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 助教 (10390692)
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Keywords | 大脳皮質 / 錐体細胞 / 膜特性 |
Research Abstract |
大脳皮質から様々な皮質下構造への情報出力は、5層にある錐体細胞が担っている。従って、皮質下構造での大脳皮質の作用を理解するには、そこに投射する錐体細胞を同定し、その錐体細胞サブタイプの性質を理解することが必要である。そこで本年度では、線条体と橋核に蛍光逆行性トレーサーを注入し、そこに投射する5層錐体細胞を同定した。同定した5層錐体細胞サブタイプでスライスバッチクランプ法を行い、細胞の発火パタンを解析した。その結果、線条体に投射する殆どの細胞は電流注入に対して最初の期間しかスパイクが発生しなかった。一方、橋核に投射する細胞は電流注入中規則的にスパイクが発生する細胞と電流注入中規則的にスパイクが発生するが注入の最初でスパイクがバースト状に発生する細胞の2種類が記録され、5層錐体細胞の発火特性は投射先と相関しているという結果が得られた。さらに、5層錐体細胞サブタイプへのシナプス入力の性質について検討した。まず、サブタイプ間で自発性シナプス電流について解析した。しかし、自発性シナプス電流の振幅、頻度ともにサブタイプ間で違いが見られなかった。また、5層錐体細胞同士から同時に記録し5層錐体細胞間のシナプス結合について解析したが、発火パタンが異なる細胞間で違いが見られなかった。さらに、5層錐体細胞間のシナプス結合における短期可塑性を検討した。短期可塑性も発火パタンが異なる細胞間で違いが見られなかったが、振幅が小さなシナプス電流は増強され、振幅が大きなシナプス電流は抑圧される傾向があるという結果を得た。5層錐体細胞サブタイプ間の発火特性の差異を決定するコンダクタンスを現在検討中である。
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