2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経特異的膜貫通蛋白質Slitrkファミリーの神経発生・神経腫瘍発生における役割
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18700330
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
片山 圭一 独立行政法人理化学研究所, 比較神経発生研究チーム, 研究員 (20391914)
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Keywords | 神経 / 発生 / 膜蛋白質 / 行動解析 / 内耳 / 蝸牛 / 前庭 / 記憶学習 |
Research Abstract |
既に作製済みであったSlitrk1,2および6のノックアウトマウスに加えて、Slitrk4,5についてもノックアウトマウスを作製した。すべてのノックアウトマウスについてC57Bl/6Jマウスに戻し交配を現在も継続して行っている。 Slitrk1,2,6のノックアウトマウスの表現型について解析を行った。いずれのノックアウトマウスも外見上目立った異常をみせることなく発育し、また、ノックアウトマウス同士の交配も可能であった。Slitrk1,6のノックアウトマウスは野生型と比べて体重の増加が抑制される傾向がみられた。また、脳の組織構造について形態学的観察を行ったが、いずれのノックアウトマウスにおいても脳の組織構築に目立った異常は認められなかった。 Slitrk2のノックアウトマウスの行動解析実験を行った。Slitrk2ノックアウトマウスは野生型マウスと比べて自発活動性およびオープンフィールド試験等で多動を示す傾向があり、また、プレパルスインヒビション、恐怖条件付け試験およびモリス水迷路試験で情報処理能力および記憶学習能力に軽度の障害が認められることが判明した。高架式十字迷路および明暗往来試験では不安・情動等に異常は認められなかった。 In utero electroporation法により各Slitrk蛋白質を大脳皮質の神経細胞に過剰発現させたが、いずれの発育段階においても導入神経細胞の移動および分化には変化が認められなかった。 Slitrk6は発生過程の内耳に強い発現があったことから、Slitrk6のノックアウトマウスの内耳について詳細に解析したところ、蝸牛のらせん神経が野生型マウスと比べて著しく減少していることが分かった。また、前庭においても後半器官へ分布する神経が消失することが判明した。
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