2006 Fiscal Year Annual Research Report
透明なモデル動物ゼブラフィッシュを用いた右脳と左脳の情報処理機構解析
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18700331
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
相澤 秀紀 独立行政法人理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, 研究員 (80391837)
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Keywords | 左右差 / 非対称 / 手綱核 / ゼブラフィッシュ / イメージング / カルシウム / 大脳辺縁系 |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュ手綱核は、その神経結合や組織構築に左右非対称性を示すことから、脳の左右差の形成機構や情報処理機能解明のモデルとして注目されている。平成18年度は、まず小型魚類を用いた脳の左右非対称研究について、これまでの研究を踏まえてまとめ、細胞工学誌に総説を発表した。 平成18年度に行った研究は、1)カルシウム指示薬による神経活動の可視化、2)左右非対称性を示す手綱核神経回路の出力経路の解析、の2つである。 受精後5日目のゼブラフィッシュ稚魚は、透明性を保っているため脳深部の信号を光学的に検出することが可能である。一方、oregon-green BAPTA-AM試薬は細胞外から導入することができ、神経活動に伴う細胞内カルシウム濃度変化を光信号に変換する。本試薬を左右手綱核に顕微注入し、高速共焦点レーザー顕微鏡で記録することで、一細胞レベルでの自発発火信号を左右半球で同時に記録することに成功した。現在、発達に伴う左右性の有無などについて信号処理ソフトMATLABを用いて検討中である。 また、これまでの研究から我々は、左手綱核が主に腹側脚間核へ連絡し、右側手綱核が主に腹側脚間核に連絡することを明らかにしてきた。平成18年度は、左右非対称な手綱核神経回路がどのようにしてその情報を脳の他部位へ出力するかを調べるために、蛍光色素を微量注入して形態学的に解析し、出力経路の候補として縫線核、中心灰白質などを同定した。来年度さらに、その左右性や左右手綱核電気刺激に対する応答様式について検討する。
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