2008 Fiscal Year Annual Research Report
透明なモデル動物ゼブラフィッシュを用いた右脳と左脳の情報処理機構解析
Project/Area Number |
18700331
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
相澤 秀紀 The Institute of Physical and Chemical Research, 発生遺伝子制御研究チーム, 副チームリーダー (80391837)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 左右非対称 / 手綱 |
Research Abstract |
平成20年度は、小型魚類を用いた脳の左右非対称研究について、本研究の背景及びこれまでの解剖学・発生学的研究を踏まえてまとめ、Development、Growth and Differentiation誌及び細胞工学誌に総説を発表した。 平成20年度に行った研究は、昨年度に行ったカルシウム指示薬によるゼブラフィッシュ手綱神経細胞活動の数値解析及び左右非対称性を示す手綱核神経回路の出力経路の解析である。神経細胞活動のアナログ信号をデータ解析ソフトMATLABによりフィルタ処理及びピーク検出を行い、発火頻度や相関について検討した。 また、これまでの研究から我々は、左手綱核が主に腹側脚間核へ連絡し、右側手綱核が主に腹側脚間核に連絡することを明らかにしてきた。平成20年度は、左右非対称な手綱核神経回路がどのようにしてその情報を脳の他部位へ出力するかを調べるために、軸索標識色素をスクリーニングし、有用であったBiotinylated dextran amine, Neurobiotin及びDiIをイオン泳動法で注入することに成功し、麻酔下及び固定したゼブラフィッシュ成魚脳に微量注入した。神経線維の投射パターンについて形態学的に解析したところ、標識色素バイオサイチンは順向性及び逆向性に神経細胞体および神経線維を標識した。形態学的に解析したところ、セロトニン神経細胞の豊富な縫線核に投射する神経細胞体を腹側脚間核に多数見出し、定量的に解析した。これらの結果を平成20年12月の分子生物学会シンポジウムで発表した。 さらに、これらの同定した神経伝導路の左右性及び活動様式について検討するため、電気生理学的測定装置及び成魚固定ステージなど開発・設置し活動測定を行った。現在までに、ゼブラフィッシュ成魚における局所脳波及びユニット記録に成功しており、解折中である。
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