2006 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系における鉄陽性ニューロン及びグリアの鉄代謝と鉄輸送経路の解明
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18700336
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
目黒 玲子 弘前大学, 医学部, 助手 (40333736)
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Keywords | 非ヘム鉄 / グリア細胞 / 神経細胞 |
Research Abstract |
正常ラットの脳において、神経細胞と各種グリア細胞、血管の非ヘム二価鉄及び三価鉄の細胞内局在を電顕的に検索した。非ヘム鉄の細胞内局在は多様であり、各種細胞間の差異の他に、同種間においても領域依存的に差異があった。神経細胞では鉄陽性反応は小脳や脳幹の大型神経細胞と間脳や被殻淡蒼球の神経細胞のライソゾームとミトコンドリアに局在した。オリゴデンドロサイトの鉄反応は成熟細胞(小型)では核に、若い細胞(大型)ではサイトゾルとライソゾームに局在した。アストロサイトの鉄反応は灰白質の原形質性細胞ではライソゾームと核、さらに毛細血管近傍に限りサイトゾルにも局在した。白質の線維性細胞では鉄反応は細胞質と核に局在した。上記2種類のグリアでは大部分の細胞が鉄陽性を示した。一方、マイクログリアでは大部分の細胞は鉄反応偽陽性または弱陽性であるが、少数の細胞が非常に強い鉄反応を示しそれらが脳全域に散在性に分布しているのが観察された。鉄局在は前者のマイクログリアではライソゾームに、後者では突起を含む細胞質全体に示された。血管では二価鉄と三価鉄の局在が異なり、二価鉄は内皮細胞の管腔側表面に、三価鉄は内皮細胞のサイトゾルとライソゾームに局在した。また毛細血管の三価鉄は灰白質では内皮細胞に局在し、白質では血管を覆うアストロサイトの突起に示された。電顕鉄組織化学による各種グリアの鉄局在の多様性は、非ヘム鉄の貯蔵形体と機能的意義が多様であることを推測させる。ライソゾームは中枢神経系の細胞では最も普遍的な鉄陽性オルガネラであり鉄の代謝や隔離に関係していると考えられる。鉄強陽性マイクログリアは鉄の蓄積と隔離に特化していると考えられる。今後、中枢神経系ついて(1)加齢ラットの脳内鉄局在、(2)免疫染色による貯蔵鉄の同定、(3)酸化ストレス負荷による細胞内鉄局在変化の観察、(4)鉄キレート剤投与による酸化ストレス軽減効果の観察を行う。
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