2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規ウィルスベクターによる視床・大脳新皮質局所神経回路の定量的解析
Project/Area Number |
18700341
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日置 寛之 京都大学, 医学研究科, 助手 (00402850)
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Keywords | レンチウイルス / プロモーター / 神経細胞 / 遺伝子導入 / 特異性 / 発現量 / 定量化 / GFP |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、局所神経回路網の解析に必要な新規ウイルスベクターを開発し、その後成体ラットを用いて視床・大脳新皮質局所神経回路の定量的解析を目指すものである。ウイルスベクターにはTTC(逆行性経シナプストレーサー)やWGA(順行性経シナプストレーサー)を発現させる計画であるが、その為には神経細胞で特異的に働くプロモーターの開発が必須である。そこで昨年度は、HIV-1由来レンチウイルスを用いて、神経細胞特異的かつ高発現を可能にするプロモーターの開発を行った。一般的に用いられてきた神経細胞特異的プロモーター5種(SYNプロモーター等)と、さらにそれらの上流にCMVプロモーターのエンハンサー領域を結合した改変型プロモーター(E/SYNプロモーター等)を作製し、成体ラット大脳新皮質・視床・線条体でGFPの発現を定量的に解析した。特異性という観点からは、脳のいずれの部位でもSYNプロモーターが非常に高い神経細胞特異性を示した(95%以上)。新規に作成した改変型プロモーターの多くはその特異性が劇的に悪化したが、E/SYNプロモーターについては比較的高い特異性を保持していた(90%前後)。また、発現量という観点からは、改変型プロモーターでは従来のプロモーターに比し、2〜4倍程度上昇した。以上の結果から、特異性を最優先する状況おいてはSYNプロモーターが、特異性と発現力を共に必要とする場合はE/SYNプロモーターが最適であるとの結論が得られた。さらにこれら二種のプロモーター特性を2ヶ月に渡って経時的に解析したところ、特性には変化が見られなかったのに対し、GFPの発現量は単調増加していき、長期発現系において遺伝子発現が抑制される可能性が少ないことも示した(Hioki et al.,2007)。今後はこれら二種のプロモーターを使用し、本研究計画を進めて行く予定である。
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Research Products
(3 results)