2007 Fiscal Year Annual Research Report
成熟期大脳皮質可塑性のメカニズムの解明:ニューロンーグリア相互作用の視点から
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18700343
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
大平 耕司 Fujita Health University, 総合医科学研究所, 助教 (80402832)
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Keywords | 大脳皮質 / 可塑性 / 細胞形態 / レンチウイルス / 蛍光タンパク質 / 特異的プロモーター / ニューロン / アストロサイト |
Research Abstract |
本研究では、げっ歯類の体性感覚系を利用して、個体が新しい環境におかれたときに起こる、ニューロンとアストロサイトの形態変化とその分子メカニズムを解析することを目的としている。ニューロンの樹状突起、スパイン、軸索や、アストロサイトの突起は非常に微細な構造をしているので、構造変化を解析するためには、まず、細胞形態を細部にいたるまでクリアーに可視化する必要がある。そこで、昨年度、膜移行性シグナルを付加した蛍光タンパク質を細胞特異的に発現することのできるレンチウイルスベクターの作製から研究を開始し、本年度は、さらにニューロンの樹状突起特異的に輸送され、樹状突起のほぼ全形態を可視化できる蛍光タンパク質の開発を行った。また、形態制御のメカミズムを解析するために、ニューロトロフィン受容体に対するsiRNAとGFPを共発現するレンチウイルスベクターを作製した。 1.緑色蛍光タンパク質(GFP)を利用した樹状突起の可視化 GFPのC末端に、樹状突起への輸送シグナル(LDLR、PLGR、TLC、NK1R、DNER)をつなげたレンチウイルスコンストラクトを作製し、ラット大脳皮質実質にインジェクションしたところ、LDLRをつなげたGFPが最も樹状突起の可視化に適していることを見出した。さらに、ラット胎児から調整した大脳皮質初代培養や,GEP-LDLRのトランスジェニックマウスにおいても同様に、樹状突起の可視化が、コントロールのGFPと比較して格段によくなっていた。 2.ニューロンの形態を制御する分子メカニズムについての解析 ニューロンの形態に対して詳細に解析できるレンチウイルスベクターの開発に成功したので、次のステップとして、形態を制御する分子をGFPと共発現、あるいはその分子のsiRNAを発現できるようなベクターの開発に取りかかった。ニューロンやグリア細胞の形態制御に深く関与するニューロンロフィン受容体の一つTrkBを目的分子とした。TrkBには3種類のイソフォームが存在するが、今回、これら3種類に対するsiRNAとGFPを共発現するレンチウイルスベクターを作製した。
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Research Products
(3 results)