2008 Fiscal Year Annual Research Report
成熟期大脳皮質可塑性のメカニズムの解明 : ニューロンーグリア相互作用の視点から
Project/Area Number |
18700343
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
大平 耕司 Fujita Health University, 総合医科学研究所, 助教 (80402832)
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Keywords | 大脳皮質 / 可塑性 / 細胞形態 / レンチイルス / 蛍光タンパク質 / 特異的プロモーター / ニューロン / 細経細胞新生 |
Research Abstract |
本研究では、げつ歯類の大脳皮質に注目し、個体が新しい環境におかれたときに起こる、ニューロンとアストロサイトの形態変化とその分子メカニズムを解析することを目的としている。ニューロンの樹状突起、スパイン、軸索や、アストロサイトの突起は非常に微細な構造をしているので、構造変化を解析するためには、まず、細胞形態を細部にいたるまでクリアーに可視化する必要がある。そこで、昨年度、膜移行性シグナルを付加した蛍光タンパク質を細胞特異的に発現することのできるレンチウイルズベクの作製から研究を開始し、昨年度に作製した、ニューロトロフテン受容体の一つであるTrkB-T1に対するsiRNAとGFPを共発現するレンチウイルスベクターを使用することにより、樹状突起の形態制御機構について解析をおこなった。 ニューロンの形態を制御する子メカニズムについての解析 今回の解析では、ニューロンの形態の制御に深く関与しているTrkB-T1siRNAとGFPを共発現するレンチウイルスベクター(LvT1-GFP)を用いることにより、TrkB-T1の発現が低下したニューロンの形態の詳細な解析が可能となった。LvT1-GFPを、ラットの脳室下帯に感染させると、嗅球の新生したニューロンの樹状突起形成におけるTrkB-T1の役割を解析することができる。その結果、コントロールと比較して、TrkB-T1 siRNAによりTrkB-T1の現が低すると、樹状突起の長さと複雑性が増すことが明らかなった。また、同様な結果が、初代培養大脳皮質ニューロンでも得られた。生体の脳内では、TrkB-T1の発現時期は、神経突起の刈り込みやシナプス形成期と一致することから鑑みると、今回の結果は、TrkB-T1は、ニューロンの樹状突起伸長を抑制し、安定化させる働きがあることを示唆している。
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Research Products
(3 results)