2006 Fiscal Year Annual Research Report
海馬に左右非対称に分布する受容体のシナプスレベルでの定量的解析
Project/Area Number |
18700344
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
篠原 良章 独立行政法人理化学研究所, 平瀬研究ユニット, 研究員 (10425423)
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Keywords | 海馬 / 左右差 / グルタミン酸受容体 / マウス |
Research Abstract |
左右の脳の機能が異なっていることは150年前から分かっているが、その分子的基盤はほとんど理解されていない。当研究者はイオン透過性グルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体(NMDNR2Bサブユニット)がマウスの海馬左右で分布が異なることを発見した。海馬CA1錐体細胞樹上突起は同側と反対側のCA3錐体細胞から同時に軸索投射を受けているが、両方の海馬を連絡している繊維を切断する手術を行うと、そのうち同側CA3に支配される樹状突起シナプスのみ残したまま、反対から投射される軸索に支配されるシナプスを除去できる。マウスにこの手術を行った5日後にシナプス部分の蛋白を精製し、イミュノブロット法で定量すると、左海馬側の方が右海馬より1.5倍NR2B蛋白が多かった。(Kawakami et al.,2003)同側と反対側から投射を受けるシナプス蛋白を混ぜて左右で比較するとNR2B量は同じなので、半体側から投射を受けるシナプスでは、この左右のNR2B量比が逆になっていることが分かる。 当研究者は、新たにグルタミン酸受容体のAMPA受容体(GluR1サブユニット)も海馬の左右で分布差があり、同側からのシナプスだけでは右側に1.5倍多いことをイミュノブロット法で発見した。すなわち、同側から投射を受けるシナプスだけで考えると、NR2Bサブユニットの多い左側にはGluR1サブユニットが少なく、GluR1サブユニットの多い右側にはNR2Bサブユニットが少なかった。海馬の錐体細胞個々のシナプスレベルでもNR2BとGluR1の量が逆相関関係を持っていて、そのようなシナプスが集まって左右差を作っていると仮定すると、NR2BとGluR1が海馬樹状突起全体で逆相関を持つ理由の説明が容易になる。 そこで、フリーズフラクチャー免疫染色法を用い、個々の錐体細胞でこの逆相関が見られるかどうかを検証中である。
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