2007 Fiscal Year Annual Research Report
網膜におけるグリアが産生するセリンの生理機能と神経再生への応用
Project/Area Number |
18700346
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
境 和久 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経構築技術開発チーム, 研究員 (20391956)
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Keywords | 網膜 / グリア細胞 / 3-ホスホグリセリン酸脱水素酵素(Phgdh) / L-serine / ミュラー細胞 |
Research Abstract |
非必須アミノ酸の1つであるL-serineは、L-serine存在下での培養ニューロンにおいて、ニューロンの生存や発達分化を促す効果がある。そのため、L-serineが強力な神経栄養因子の効果があることが報告されている。しかもL-serineを合成するのに必要な合成酵素3-ホスホグリセリン酸脱水素酵素(Phgdh)は脳内のニューロンにはL-serineの合成能力はなく、もっぱら隣接に存在するグリア細胞で合成していることが知られている。本研究では、Phgdhの発現解析を糸口にしたマウス網膜でL-serineの重要性の解明を目的としている。前年度の研究ではマウス網膜でのPhgdhの発現解析を行った結果、網膜でのグリア細胞であるミュラー細胞とアストロサイトに発現していることが得られた。 本年度はL-serineの輸送機構に関与していると考えられる中性アミノ酸トランスポーターASCT1について免疫染色法により発現解析した。その結果、ASCT1はグリア細胞であるミュラー細胞とアストロサイトに強い発現していることを確認した。また、免疫電顕法によりASCT1はミュラー細胞の細胞膜に局在発現していることも確認された。これらの結果よりミュラー細胞などのグリア細胞で産生されたL-serineをグリア細胞膜上に存在するASCT1によって放出され、ニューロンに供給していると考えられる。これらの研究結果をまとめた論文を現在準備中である。
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