2008 Fiscal Year Annual Research Report
網膜におけるグリアが産生するセリンの生理機能と神経再生への応用
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18700346
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
境 和久 The Institute of Physical and Chemical Research, 先端技術開発グループ, 研究員 (20391956)
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Keywords | 網膜 / グリア細胞 / 3-ホスホグリセリン酸脱水素酵素(Phdgh) / L-serine / ミュラー細胞 |
Research Abstract |
非必須アミノ酸の1つであるL-serineは、L-serine存在下での培養ニューロンにおいて、ニューロンの生存や発達分化を促す効果がある。そのため、L-serineが強力な神経栄養因子の効果があることが報告されている。しかもL-serineを合成するのに必要な合成酵素3-ホスホグリセリン酸脱水素酵素(Phgdh)は脳内のニューロンにはL-serineの合成能力はなく、もっぱら隣接に存在するグリア細胞で合成していることが知られている。本研究では、Phgdhの発現解析を糸口にしたマウス網膜でのL-serineの重要性の解明を目的としている。本年度は主にPhgdhのノックアウトマウスの眼球ついての組織形態をさらに調べてみた。このノックアウトマウスは胎生致死であるため胎生期13.5日で調べてみると、ノックアウトマウスは野生型に比べ個体が著しく小さい。眼球は比較的正常な場合と著しく異常な場合がみられた。今回著しい異常な眼球は二つのタイプが観察された。主な特徴として(1)将来網膜となる眼杯は比較的正常だが、本来形成されているはずの水晶体が全く形成されていない場合と(2)眼杯が正常な杯状の構造をしておらず、歪な構造をしており、水晶体は形成されるが非常に小さく眼杯の外部に突出している状態が観察された。このことは眼の発生での網膜や水晶体を形成するための誘導や分化に影響を及ぼしていると示唆される。
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